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登龍門

今日はご依頼のデザインを書いていました。
それは、男物の絵で、鯉が龍門を登り、水を蹴り空を
駆け上って龍となる姿です。
登龍門を登る男の出世柄として最強の意匠と言えるでしょう。
それを描いている時、昨日来られた母と子が
瞼に浮かんできました。
とても小さな男の赤ちゃんと、それを慈しむ母の姿。

滝を登る鯉の勇姿。
医療の未発達な昔は、女の子と違い抵抗力の弱い男の子は、
あっけないくらいころころと死んだのでしょう。
親の切ない思いを受け、さばかれ切り刻まれても死なない
鯉の生命力に縋り、着物の表に裏に、端午の節句の空に
泳がしました。
また、成長してもうかうかしておれません。
家族を守り、出世という使命をおび、鯉は人生の関門を
くぐり抜け、龍にならなければならないのです。
その龍の全身は、九つの吉相と九×九=81の鱗を持ち
陽の極まる九の数字に守られています。
弱く成長の遅い男の子は、あらゆる精霊の力を借り、
その全身を守られているのです。
親、先祖の血の滲む思いに胸が詰まります。